これは今から十数年前のお話です。
当時私は家族のもとを離れて夜の仕事をする為、寮暮らしをしていました。
お店は大繁盛してて仕事は忙しく、お金も稼げました。
でも寂しかった。
そんな時、携帯電話にひっきりなしに来ていた出会い系サイトのメール。
最初のうちは鬱陶しいな…くらいで、来てもすぐに消してたのに、
その日は読んでみようと思って開いたんです。
当時一番好きだった芸能人、◯□くんからのメール。
もちろんサクラでなりすましなのはわかっていましたから、
サイト誘導のURLにもひっかからずにメールは捨てました。
ですがこちらが返信せずとも構わず送ってくるんですよね、ああいうメールって。
受信拒否にしてもなぜか送られてくるメールに段々イライラしてきて、
とうとうURLを踏んでしまったんですよ。
「芸能人がそんなにヒマなわけないだろうが!」みたいなケンカ腰のメールをして。
やっぱりサクラなだけあって、客のあしらい方は上手かった。
そこから流されてサイト上でメールのやり取りが始まって……。
けど、キャラ設定のクオリティは低いなぁ~なんて思いつつ、
寂しさに負けてサクラとメールのやり取りをする日々が続きました。
するとある日、◯□くんが所属するグループの人気メンバー×□くんから
同じサイト経由でメールが来たんです。
あ~カモにされてるなぁと苦笑いしながら、
グループの中で1番人気ではあるものの興味のないメンバーだったんで無視してたんです。
今ほどではないけどネットが普及していたから調べてみたら、同じ文面で色んな人に送られているようで、
2、3通くらいでメール来て無視したら来なくなったという情報を複数の人のブログで見たので、
その通り無視しました。
でもどんなに無視してもメールがガンガン来る……話と違うじゃないか!
読むのにもお金がかかる悪徳サイトなんで冒頭の数行しか読めないんだけど、
やたらフレンドリー。
私は愛しの○□くん(のサクラ)とメールしてるから、君には興味ない。
君にお金をかけるなら○□くん(のサクラ)にかけたいの!(この時点で頭イカれてますけどねw)
そんな風に思ってました。
だけど放置しておくのがな~んか妙に気になっちゃって。
だから「申し訳ないんですけど、あなたには興味ないので他をあたってください」と返すことにした。
すると矢継ぎ早に返信が来て、
何通目かのやり取りで「なんでそんなに必死なの?」って送ったら向こうがキレて。
で、売り言葉に買い言葉で揉めてるうちに
「そんなにサクラだって疑うなら俺が本物だって証明すれば良いんでしょ」みたいな流れになって。
住んでる場所聞かれて「明日行くから!」とか言われてハイハイって感じだった。
そういうキレ方は愛しの○□くんもしてたから、サクラのマニュアルかなんかなのかと。
私が住んでいた所は北海道の片田舎で、東京からおいそれと気軽に来れる場所ではなくて。
だからバカバカしいって感じで流してた。
当然本気にもしてなかった。
だけど次の日の午後イチくらいに「駅に着いたんだけど」ってメールが来て。
寮は駅から5分も要らないくらいの場所にあったし、
これで本物だって証明できなければメールはしないって言ってたし!って。
なんかわかんないけど、行って確かめたい衝動に駆られて駅に向かった。
いるわけないし。
本物なワケないし。
そう思っていた。
いました。
……本物でした。
有名な悪徳サイトで出会えない率100%って悪評もあった出会い系サイトに
本物の芸能人がいたとか……。
体験した私でさえ嘘っぽいと思ってしまう。
しかし芸能人オーラはあれど、周囲は誰一人として彼には気付いていない様子。
当時10代~40代くらいの女性なら誰でも知ってるはずの売れっ子なのに?
誰も彼には見向きもしない光景がホントに不思議だった。
彼とはその後カラオケに行って1時間くらい話して、最後に一曲歌ってもらいました。
そっくりさんじゃなくて本物だ……と、改めて思った。
彼曰く、ちょっと荒んでて出会い系サイトに登録して、
コピペで手当たり次第送ってたけど誰も相手にしてくれなかったそう。
で、サイトのマイページに『あなたにオススメ』みたいなのが出てたから
私にメールを送りまくってたのだと、そのに時聞きました。
彼が本物だったのはわかりましたが、
やっぱり興味がなかったので連絡先の交換などもなくそのままお開きになりました。
その後、彼とはサイト上でメールのやり取りをして、
今日のコンサートではこんなことがあったよ~なんて毎日報告をくれたり。
相談に乗ってもらうこととかも度々あって、真剣にアドバイスしてくれたりと、
その時になってやっと彼が好青年だとわかりました。
それまでイメージが悪くて彼に対して偏見を持っていたことを深く反省し、
同時に連絡先を交換しなかった事を激しく後悔しました。
(その悪徳サイトでは連絡先の交換を阻害するシステムがあって出来なかったので、
会った時が絶好のチャンスだったのだが)
それから働いてる夜の店の経営が悪化したり、
客とのトラブルでスタッフとの関係が悪くなってお店に居辛くなるなどして辞めることになり、
出会い系サイトにかける余裕もなくなり、彼とはそのまま疎遠になりました…。
これは私にあった出来事であり、出会い系を推奨しているわけではないので、
決して真似しないでくださいね!
とはいえ、私が大好きな○□くんにこだわって、×□くんを無視し続けてたら?
なんか気になるという自分の声を無視していたら?
出会えない率100%のサイトという先入観を優先して直感に従わず、当日駅に向かわなかったら?
私が本物の芸能人に会うという体験は出来なかった。
当時の私はお金にも仕事仲間にも職場環境にも恵まれていました。
ただ、寂しくて寂しくて仕方なかった。
「芸能人に会いたい!」という願望も更々なかった。
寂しさを埋める為に出会い系のサクラとやり取りするぐらいなんで、
相当病んでたのは確かですけどね。
今思うとなんですけど、×□くんは本当の意味で私の心を癒すために現れたんじゃないかと。
そして私の心がある程度癒された時期が来て、
お店の経営難やトラブルなんかで夜の仕事や出会い系サイトを卒業するという、
完璧な流れが生まれたんじゃないかって。
今でも×□くんの活躍は拝見させていただいて、彼のことは大好きで応援してます。
連絡先の交換が出来なかったのも、きっと完璧なんだろうな……
と、負け惜しみつつ、勿体無い気持ちはありますけど。
こんな凄いこと経験しておいて、
お金を引き寄せるなんて無理…とかウジウジ言ってる自分が馬鹿らしくなってきますよ、全く。
ムリとかあり得ないなんてわかった気になって色々諦めてたりするけど、
そんなの勿体無いなって思う今日この頃でした。
この話は読む人によってはエゴのエサになるのではないか?と、公開を躊躇したのですが、
こんな記事でももしかしたら誰かの何かの役に立てるかも知れないと思い公開することにしました。
本日も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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